『日本歯技』2024年12月号巻頭言




公益社団として社会的役割を支えるための組織拡充


 公益社団法人日本歯科技工士会を次世代へ確実に繋いでいくため、これまで様々な施策が講じられてきた。しかしながら、会員数は依然として減少傾向にあり、現状ではその傾向に歯止めがかかっていないのが実情である。今こそ、抜本的な改革が求められており、過去の慣例にとらわれることなく、スピード感を持って組織対策を進めるべきである。そのためには、現会員や地域組織の理解と協力も欠かせない要素である。
 近年、会員の高齢化が進み、60歳以上の会員が全体の約4割を占める状況にある。このままの状態が続けば、将来的には会員数が現在の半数以下にまで落ち込む懸念がある。また、地域組織においても組織率の低下が見られ、活動内容が縮小しつつある。特に歯科技工士養成施設が存在しない地域では、新規加入が極めて難しく、年々減少が続いている。
 急速に普及するデジタル歯科技工の波において、組織も時代の変化に適応した改革が必要とされている。その一つとして、同業他団体との連携を強化し、新たな取り組みを通じて組織拡充と強化を図る効果的な手段がある。
 医療従事者である歯科技工士が公益社団法人日本歯科技工士会に所属することは、個人では達成できない社会貢献の手段である。大規模災害が発生すれば、歯科医師や歯科衛生士とともに被災地に派遣され、歯科医療支援に従事する。また、国や行政機関と連携し、良質な歯科医療を提供するための環境整備に努めている。これらの取り組みは、個人では実現できない公益社団法人としての重要な役割である。
 今こそ、公益社団法人日本歯科技工士会の意義を再確認する必要がある。この会は国民のために存在し、その活動を通じて日技会員のみならず、会員外の歯科技工士にも恩恵をもたらしている。会員個々の利便性やメリットにとどまらず、歯科技工の質を向上させ、歯科医療の発展に貢献するために設立された会であることを忘れてはならない。

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