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『日本歯技』2019年9月号 巻頭言


『日本歯技』 2019年9月号
 

変化と機会

 経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省で共同執筆された『2019年版ものづくり白書』によると、総論として「我が国の製造業は大変革期にあり、非連続的な変革が必要とされ、製造業におけるデジタル化の取組は具体的なニーズや課題の見え始める第二段階を迎えている」と現在位置を示している。また、様々な産業において人材の量的不足がますます深刻化するとともに、求められる人材の質も抜本的に変化し、今後はAI・IoTスキルを持つ人材が活躍できる環境の有無がデジタル化の成否を分けるとしている。さらに、職人の匠の技そのものや、品質・技術力を裏打ちする良質なデータが現場に存在するうちに、将来を見据えた対策を行うことが急務であり、少子化とデジタル化の進歩により、製造業に大きな変化の波が押し押せていると、近未来に向けての指針が説かれた。※1

 歯科技工界においても数年前からデジタルの応用が各所に用いられている。効率と安定を現実化したデジタル化は、歯科技工の一部分、そして白書の指摘にあるように、これからの人材の量的不足、質の変化への対応に大きな比重を占めて行くことであろう。
 このデジタル化の流れは製造業の変革のみならず、人々の情報収集に大きな変化をもたらした事も見逃せない。日本歯科技工士会による『2018年歯科技工士実態調査報告書』の自営者、勤務者共通項目の中で、歯科技工を続ける上での問題点として、低価格、低賃金、長時間労働が多くの割合を占めている。過去から引きずるこの問題は、様々な情報発信媒体により拡散され、今日における職業の敬遠に繋がっていることも否めない。
 政府の推進する働き方改革法案、デジタル化の大きな変化等、労働環境改善への動きがある中、我々歯科技工士も現実と変化に本気で向き合い、職業の徳性を高め、改善、改革に努めなければ、歯科医療、そこに期待をかける国民の思いに答えることが困難となる。
 大きな変化が迫りくる今、その変化をどう捉え進んでゆくのか取り組みが問われてくる。進化論ではないが、大きな環境の変化においては、強いものが生き残るのではなく、変化に対応したものが生き残るのである。変化を機会として捉え、良き方向に進んでゆこう。変化は機会の母なのである。

参考文献 ※1 2019年度版ものづくり白書 概要 令和元年6月 経済産業省、厚生労働省、文部科学省

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