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『日本歯技』2021年3月号巻頭言


『日本歯技』 2021年3月号
 

危機管理と感染対策

 今から10年前の2011年3月11日午後2時46分頃、未曽有の災害と言われる東日本大震災が発生し、東京23区でも震度5弱を観測した。その時刻は第94回代議員会の最中であり、市ヶ谷の歯科技工士会館では地鳴りと共に地面の突き上げがあり、強い揺れの中、窓から見える外堀通りや靖国通り沿いに建つビル群や電柱・電線の異常なまでの揺れを目の当たりにして、暫し言葉にならなかったことを記憶している。その後の東北地方を中心とする被災地への復旧・復興に対して、日本人は慮りの精神を示し、絆の強さを発揮してその貢献に尽力してきた。
 御巣鷹山の飛行機事故を機に法歯学分野が更に発展したと同様に、震災や地球温暖化が原因とされる気候変動による水害等の災害に対して、国、自治体や企業、各組織体は多角的な危機管理の整備が求められている。日本歯科技工士会においてもナショナルセンターとしての機能保全管理の充実や、日本歯科医師会の「災害歯科保健医療体制研修会」、JIMTEFの「災害医療研修会」に出席し、災害医療分野への歯科技工士の貢献の構築を図っている。大規模災害時において行動可能な体制の整備・強化には医療関係団体とのネットワークが必要であり、歯科技工士が被災地等で歯科技工を実施する場合の法的な整理が急務である。
 1998年、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が制定され、感染予防の観点から、日本歯科技工士会は厚生労働省「歯科医療関係者感染症予防講習会」事業の中で2002年度に「感染症予防歯科技工士講習会」をスタートさせ、地方組織の協力のもと全国で講習会を実施しており、歯科医療現場での感染予防の重要性が求められている現状で、歯科技工士はスタンダードプリコーションの知識や手法を修得している。
 人類は有史上、医学や医療の進歩により多くの疾病や感染症の苦難を乗り越えてきた。折しも昨年初頭から日本でも新型コロナウイルス感染症が発生し、今なお災害級に猛威を振るっており、新たなフェーズに入ったとも言われ、終息の兆しはまだ見えていない。治療薬の開発や早期のワクチン接種が望まれるが、感染拡大から身を守るためにも、自分自身の生活に合う「新しい生活様式」の実践こそが普遍の原理だと考える。その上で人類は、ポストコロナ時代の新たな社会規範に順応していくため幾多の術を得ることが求められる。

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