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『日本歯技』2021年7月号巻頭言



スピードの価値

 一代で世界の「HONDA」を築き上げた本田宗一郎氏が、「モノづくり」という立場で、人の成長や仕事上の発明などを例えにして、スピードの価値を話していたことを思い出した。
 国は、未だに終息の見えない新型コロナウイルス対策として、ワクチンの1日100万回接種に向けて体制構築を進めている。度重なる緊急事態宣言により、様々な産業が影響を受けて経済の疲弊が叫ばれ、医療現場の厳しい状況も報道されている。対策は人の生死にかかわる重要課題であり、まさにスピードが求められている。
 私たち歯科技工士においても、就業者の高齢化と若年層の減少を訴えて久しいが、その解決には至っていない。昨年度の歯科技工士国家試験の合格者数は823人で、最も多かった頃の4分の1ほどである。その結果、就業歯科技工士は50歳以上が半数を占めるようになり、近い将来、質の高い歯科補てつ物等の安定供給が危惧される状況である。関係者は危機感を持っているが、解決に向けたスピードが足りない。
 一方、時の流れのスピードに驚くこともある。年を重ねるごとに月日の経つのは早いものだと思う。しかし、前述の本田氏は、「スピードを否定する人間は敗北者だと思います」と独特な表現で述べている。敗北者にならないために、人生のスピードに遅れることなく、やらなければならないことをやるためには、並大抵の努力では叶わないのかもしれない。
 だからこそ、組織は一人ひとりの力を結集し、チームとして課題解決に取り組むのである。そのためには情報を共有し、意思を統一し、継続した主張が社会に共感・信頼されるものでなければならない。言うまでもなく、その備えがあってこそスピードの価値が認められるのであって、単にスピードだけで全てが解決するわけではない。
 コロナ禍において社会全体に閉塞感が漂っているが、先達の「言」をポジティブに捉え、この状況をチャンスに変えることこそが、今を生きる私たちの使命ではないか。

 
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