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『日本歯技』2021年9月号巻頭言


『日本歯技』 2021年9月号


特定人に対する歯科医療の用に供する


 「特定人に対する歯科医療の用に供する…」は歯科技工定義の枢要である。この特定人が歯科患者であることに疑いはない。ならば、特定人ではない、つまり「非特定人に対する医療の用に供する…」とはどういう状況か。この差異を考えたい。
 歯科医療には、患者個別に“調製”され現れる歯冠修復や欠損補綴という有体物が含まれる。この歯冠修復や欠損補綴の適用は、①前段行為、②作成、修理、加工、③後段行為 で構成され、歯科医療は①②③の一連で成り立っている。
 昭和30(1955)年、歯科技工法は歯科医療の普及及び向上を目的とし、「特定人に対する歯科医療の用に供する作成、修理、加工」を同法第2条で定義し、その担い手を歯科医師と歯科技工士の二職種による業務独占とした。ただし同法第2条-但し書きで、「歯科医師が自ら診療中の患者のために自ら行う行為」はこの法が言う歯科技工には“含まない”と定義した。そのうえで同法第17条第2項に「歯科医業の停止を命ぜられた歯科医師は、業として歯科技工を行つてはならない」と定め、加えて同法第30条第1項第二号では「歯科医業の停止を命ぜられている歯科医師」について一号を設け、免許停止中の歯科医師が歯科技工を業とした場合には「六箇月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し…」と罰則内容さえ明示した。このように「特定人に対する歯科医療の用に供する作成、修理、加工」を業となす因子は、歯科技工士法への改称後も、歯科医師免許又は歯科技工士免許の効力の有無に在る。
 思考を「特定人」に戻そう。
 非特定人、すなわち「汎用)の歯科医療の用に供する…」の代表格は医療材料であろう。これを統べる法令は(旧)薬事法(現「薬機法」)である。昭和35(1960)年、薬事法は保健衛生の向上を目的として制定され、医薬品・医療機器などの品質、有効性・安全性の確保、加えて危害防止等のために必要な規制・措置を講じ、医薬・医療機材という患者を特定しない汎用機材を対象としてきた。現在の「薬機法」では、これらに機器承認等特性、再生医療等製品、安全性規制強化などが加わっている。
 このように保健医療は、患者への行為資格、汎用の薬剤・機材、加えて施設などの各法令、そして多層の経済政策によって維持・向上させている。このうち歯科技工は個別歯科患者の用に供する行為である。
 
*通称-薬機法;「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」昭和35年法律第145号、平成26年11月25日改称

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