『日本歯技』2023年3月号巻頭言
日本歯科技工士会について

多様性を必要とする組織へ
職能団体とは、専門的資格や技術、知識を持つ専門職従事者らが、自己の専門性の維持・向上、専門職としての待遇や利益の保持・改善、専門職の団結による社会貢献活動等を行うための組織といわれており、日本歯科技工士会もこれに類する。
日技の組織率低下は顕著で、様々な弊害が露呈しており、悠長に構える時間は既にない。時に任意加入と強制加入について話題にされることはあったが、憲法第19条(思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。)により継続的な議論に発展しづらい。未入会者からは必要性の有無、会費の無駄、会の存在自体が知られていない等の理由が聞かれてきたが、その時々に対策が講じられてきた。しかし、求められる価値は個々人で異なり、万人受けは難しい。
社会は、単一性から多様性(ダイバーシティ)の時代に変化している。多様性とは単に「いろいろある」といった意味ではない。それでは寄せ集め・烏合の衆であり、もはや組織としての体を成さない。重要なのは職能団体としての意義に共鳴し共感する異なる群が存在することであり、特徴として性質に類似性のある群が形成できることである。そして形成された集団には、新しい価値を組織にもたらすことが期待される。
この考えに立てば、わが組織も多様性を追求することにより、変わり続けることが大切である。会員の平均年齢は高くなるが、歯科技工界は無論のこと、この組織にも多数の青年層が居る。従来とは異なる在り方を模索し、会費が活かされていると感じる活動を大胆に目指そう。
かつて会員数が2万人を超えた時代には、主張が際立っていた。組織率が低下する中、職能団体の存在意義を否定する者は少数であろう。「歯科」が政府の骨太の方針に入ったチャンスを見逃さず、強い理念を掲げ一致団結して全身全霊を傾けたい。