『日本歯技』2024年6月号巻頭言

巻頭言2024年6月号

デジタル化時代における歯科技工士免許の管理・活用の重要性

 令和4年度の歯科技工士国家試験(令和5年2月19日実施)は、受験者904名で、そのうち合格者は820名であり、合格率は90.7%であった。(出所:厚生労働省HP)。
 一方、歯科技工士名簿登録状況(令和6年2月29日現在)によると、令和4年度末時点で登録者は123,903名であり、令和4年度の歯科技工士国家試験合格者が行うであろう令和5年度中の新規登録が375名、免許返納(抹消)は42名あり、歯科技工士名簿登録者数は差し引いて令和5年度末で124,236名であった。(出所:一般財団法人歯科医療振興財団)。
 ここで、令和4年度の合格者820名と令和5年度の免許登録者375名に注目してみよう。820名の合格者全員が免許申請を行わなかったとしても、新規登録375名に対する申請率は45.7%と低い。この数値をどう解釈するかが重要である。例えば、半数以上の合格者が歯科技工士免許を必要としない職に就いた可能性や、無免許で歯科技工を行ったり、新規登録の中には過去の合格者が含まれていたりする可能性など、様々な推測が考えられる。
 国はデジタル化の推進を急務としており、マイナンバーカードの普及・利用促進を図っている。厚生労働省医政局歯科保健課からも本会へマイナンバーカード取得促進への協力依頼があり、本会はこれに応じ、会員に向けて取得を呼びかけた。
 行政官庁では、医療を含む80以上の国家資格について、マイナンバーを利用した手続きのデジタル化(資格取得・抹消、更新等の手続時の添付書類の省略等)を進めており、令和6年度中には、資格保有者がマイナンバーカードを活用して証明や提示が可能になる予定である。このサービスが開始されれば、自身の歯科技工士資格をマイナンバーに登録することで、取引先の歯科医療機関などに対して容易に歯科技工士免許を有することを証明できるようになる。さらに、これによりトレーサビリティが確保され、国民に安心・安全な歯科補綴物等が供給されることも期待できる。また、免許を取得した従事者数も正確に把握できるようになり、国の施策にも適切に反映されるであろう。
 こうした改革により、国家資格等の情報が連携されていくことが重要であると理解しておきたい。

 
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