2019年応募総数は2,980句でした。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
入選作品は以下の通りです。
(寸評:全日本川柳協会・本田智彦事務局長)
特選
【表彰状、商品券(3万円分)】
よい入れ歯 寿命を延ばす パートナー (東京都/でひでひ)
【寸評】
入れ歯は加齢とともに重要になっていきます。健康を保つためには歯で物をしっかり噛むことがとても重要。よく噛むことで寿命も延びます。かみ合わせが合わないときには歯科医と相談しながら納得するまで対話し、良い入れ歯を作ってもらうことです。
秀句
【表彰状、商品券(1万円分)】
親と歯は なくなってから 後悔し (埼玉県/ろんちゃん)
【寸評】
川柳では「し」止めは余り歓迎されませんが、「後悔し」と反省の意味を強調していますので採用しました。「孝行のしたい時分に親はなし」ということわざもあります。歯も全く同じ意味で共感です。
入れ歯はめ 舞台で伸びる 声と腰 (広島県/小魚二)
【寸評】
声と動きを重要視する舞台でしょうか。歯が欠けていると舌の動きも悪くなり、声が十分に響きません。下五の「声と腰」で観客に受けると盛り上がります。
これからも 無くしたくない 歯と家族 (愛知県/まやりーな)
【寸評】
歯が欠けると健康維持にも影響します。このことは家族の絆とも共通点があります。家族の大切さと同じく、無くさないように大事にしようという前向きな川柳です。
佳作
【表彰状】
良き入歯 相棒にして 良き老後 (神奈川県/ムク坊)
【寸評】
「良き」が重なっていますが、それほど強調したい気持ちが表れています。
食べ物を 噛める喜び かみしめる (千葉県/出島)
【寸評】
物を噛むことができる自分の歯に感謝しています。
長生きも きっと入れ歯の お蔭だね (東京都/臨海和笑)
【寸評】
物をよく噛むことで消化が良くなります。長生きの秘訣です。
歯ごたえも うまみのひとつ 維持しよう (東京都/朱夏)
【寸評】
料理も歯ごたえがよいと「美味いなあ」と感じます。
入れ歯なきゃ 口と会話が 噛み合わぬ (茨城県/ゆきき)
【寸評】
総入れ歯は特にそうです。入れ歯がないと「もぐもぐ」と何を言っているのかわかりません。
はははの歯 笑って暮らそう いつまでも (愛媛県/よかにせ)
【寸評】
中八はよくありませんが、いつまでも笑って暮らしてください。
入れ歯見て 「合体ロボ」と 孫が言う (埼玉県/かっぱる)
【寸評】
ユーモア句ですね。入れ歯をロボットと見立てた目付に感心させられました。
日々進歩 身近でわかる 歯科医療 (神奈川県/夏野菜)
【寸評】
歯磨きも電動歯ブラシがあり、器具も日々進歩しています。
技工士の 匠の技で 歯が生きる (京都府/北野クニオ)
【寸評】
技工士の技はきちっと入れ歯を合わすのみでなく、長持ちして欲しいという希望もあります。
長生きの 元を辿れば 歯の力 (埼玉県/相澤 博)
【寸評】
長生きは歯の力だけではないでしょうが、食物を噛むことで「今まで元気に生きてこれたんだ」という実感句です。